VRや3Dプリンターなど、数十年前では考えられなかったものが身近な存在になっており、それと同時に3DCGデザイナーの需要が拡大しています。しかし、誰でも簡単になれるものではなく、知識やスキルを必要とする仕事です。
そこで本記事では、どのような仕事なのか解説したうえで、必要なスキルや仕事内容を解説します。
CONTENTS
Webデザインとグラフィックデザインとは?
Webデザインとグラフィックデザインは、見た目のデザインに関わる仕事として似ているように思えますが、実際には異なるアプローチとスキルが必要です。まずはWebデザインとグラフィックデザインの違いを詳しく解説します。
Webデザインとは
Webデザインは、WebサイトやWebアプリケーションの外観とユーザーエクスペリエンス(UX)を設計するプロセスです。Webデザイナーは、サイトのレイアウト、色彩、テキストスタイル、ナビゲーションなどを決定し、ユーザーがサイトを快適に利用できるようにします。
Webデザインは、ユーザビリティ、モバイルフレンドリーさ、SEOなど、多くの要因を考慮に入れる必要があります。
グラフィックデザイン
一方、グラフィックデザインは、印刷物やデジタルメディアに使用される図形、イメージ、テキストなどの要素をデザインするプロセスです。グラフィックデザイナーは、ポスター、パンフレット、ロゴ、広告、雑誌のレイアウトなどを手がけます。
グラフィックデザインは、視覚的なコミュニケーションに焦点を当て、美的要素やブランドイメージを強調します。
Webデザインとグラフィックデザインの異なるポイント
Webデザインとグラフィックデザインは、デザインの分野において異なる側面を持っています。以下に、それぞれの違いを詳しく解説します。
メディアの違い
Webデザインとグラフィックデザインの最も明確な違いは、対象となるメディアです。Webデザインは、インタラクティブなデジタルメディアに焦点を当てています。
これは、ユーザーがWebサイト上でスクロール、クリック、さまざまなインタラクションを行うことを考慮に入れる必要があることを意味します。Webサイトのデザインは、さまざまな画面サイズやデバイスに対応し、ユーザーが情報を容易に見つけ、アクセスできるようにすることが主な目標です。
一方、グラフィックデザインは、静的なメディアにデザインを適用します。これには、印刷物、広告、パンフレット、ポスターなどが含まれます。静的なメディアでは、デザインは一瞬の視覚的な魅力を追求し、情報をわかりやすく伝えることに焦点を当てます。
ユーザーエクスペリエンスの違い
Webデザインとグラフィックデザインのもうひとつの重要な違いは、ユーザーエクスペリエンスの追求です。Webデザインは、ユーザーがWebサイトを効果的に使用できるようにするために、ナビゲーションやコンテンツの配置に重点を置きます。
Webサイトのデザインは、ユーザーが目的の情報に迅速にアクセスでき、適切な操作を行えるよう工夫されます。ユーザーエクスペリエンスの向上が、Webデザインの中心的なテーマとなります。
一方、グラフィックデザインは、視覚的なアピールとコミュニケーションに焦点を当てます。静的なメディアにおいては、デザイン自体がメッセージを伝える手段となります。
視覚的なデザイン要素、カラースキーム、フォントの選択、レイアウトなどが、情報を効果的に伝えるために駆使されます。Webデザインとグラフィックデザインは、異なるニーズとメディアに対応するために、それぞれ独自のアプローチとスキルが必要です。
どちらの分野もデザインの重要性を体現しており、正しいコンテキストで活用されることで、効果的なコミュニケーションと魅力的なビジュアルを提供します。
双方を両立することはできる?
Webデザインとグラフィックデザインは、デザインの分野において異なる役割とニーズを持ちながらも、一緒に調和させることができることが多いです。Webデザインは、Webサイトやアプリケーションのユーザーエクスペリエンスを最適化することに焦点を当てます。
これには、ユーザーインターフェースの設計、ナビゲーションの使いやすさ、レスポンシブデザイン、およびコンテンツの視覚的な配置が含まれます。一方、グラフィックデザインは、広告、パンフレット、ロゴ、ポスターなどの印刷物やデジタルメディアにおけるビジュアルコミュニケーションを強化することを目的とします。
カラースキーム、フォントの選択、画像の編集、およびデザイン要素の配置が、グラフィックデザインの主要な要素です。これらの違いにもかかわらず、Webデザインとグラフィックデザインは互いに影響を与えることがあります。
Webデザインでは、グラフィックデザインの原則を使用して、Webサイトやアプリケーションのビジュアル要素を強化できます。逆に、グラフィックデザインにおいても、Web用のデザイン要素を考慮して、一貫性のあるブランドイメージを構築できます。
デザイナーが両方の分野に対応するためには、異なるツールや技術をマスターし、プロジェクトごとに最適なアプローチを選択するスキルが必要です。また、Webデザインとグラフィックデザインは、プロジェクトの目的やターゲットオーディエンスに合わせて調整することも重要です。
3DCGデザイナーとは
VRや3D映像、3Dプリンターなどが身近な存在となり、街中の広告やゲーム、デザインなどで3Dが活用されているのを頻繁に見かけるでしょう。このような3Dのコンピューターグラフィックを使ってデザインを作る人のことを3DCGデザイナーといいます。
ただ、一口に3DCGデザイナーといっても細かな職種があり「モデリング」「エフェクト」「ライティング」「モーション」「レンダリング」などがあります。たとえば、モデリングはキャラクターや背景、アイテムなどの立体データを作成するのが主な仕事です。
次にモーションという職種ではモデリングで作成された3Dデザインを、実際に動かす作業のことを指します。どのような動きがキャラクターに合うか、より自然な動きは何かを考え、動きをつけていく作業となります。
このように、さまざまな職種があり、仕事内容は多岐にわたります。また、2DCGデザイナーと何が違うのか疑問に感じる方もいるでしょう。
もっとも大きな違いは使用するソフトであり、3DCGでは「Maya」「3dsMAX」などのソフトを使って立体的なデザインを作成します。一方、2DCGでは「illustrator」「Photoshop」などを使ってデザインを作成します。
どちらにもニーズがあり、2DCGは紙媒体の印刷物もデザインできるので、映像以外のデザインに携われる点も違いといえるでしょう。
3DCGデザイナーの仕事内容
3DCGデザイナーの仕事内容は主に3つあります。
モデリング
モデリングはキャラクターや背景、アイテムなどの立体データを作成する工程を指します。デザインイメ―ジなどをもとに「ポリゴン」や「メタボール」といった表現技術で3Dデザインを作成します。キャラクターや人物だけでなく、必要に応じて背景なども作成します。
アニメーター
アニメーターは、モデリングで作成した3Dデザインに動きを加える工程です。モーション・モーションデザインとも呼ばれ、近年では技術が進歩しよりリアルな動きを表現できるようになっています。
キャラクターや背景の動きによって、躍動感や心理描写が変わるので、重要な工程の一つといえるでしょう。
そのほかの業務
3DCGデザイナーはモデリングやアニメーターといった仕事のほか、エフェクトの作成やモデルを映し出すための撮影なども行います。たとえば、カーレースのゲームでは、臨場感や躍動感が欠かせないので、カメラの設定を工夫してコンセプトに合う映像を撮影する必要があります。
3DCGデザイナーの必要なスキル
将来性が感じられる3DCGデザイナーですが、スキルや知識が必要な職業です。3DCGデザイナーに必要なスキルは主に3つ挙げられ、一つがデザインソフトを扱うスキルです。
3DCGデザインは「Maya」「3dsMAX」といったソフトで作成されるため、基本のソフトを扱えるのは必須のスキルといえるでしょう。ただ、3DCGデザインは3Dのデザインだけを作成するのではなく、2Dのデザインを作成する場面もあります。
そのため「Photoshop」「illustrator」などのソフトを扱うスキルも必要となります。また、3DCGデザインは立体的なデザインを作る仕事のため、デッサンのスキルが基本の技術として求められます。
デッサン力の高いデザイナーは3DCGでもクオリティの高いデザインを提供できる傾向にあり、デッサン力は必要なスキルといえるでしょう。そのほか、3DCGデザインは業務内容を細かく分けてチーム制で仕事を進めていくことが多いため、ほかの業務担当者とスムーズな連携を取るためのコミュニケーション能力も大切です。
一人で作業を進めるイメージがあるかもしれませんが、円滑な業務を進めるためにコミュニケーション能力は必要なスキルなのです。
3DCGデザイナーになる方法
3DCGデザイナーを仕事にするにあたり、必ず必要な資格や学歴はありません。そのため、目指せばだれでもなれるといえますが、3DCGという特殊なデザインを作るので専門のソフトを扱うスキルは必要になります。
また、2Dのデザインを作成するソフトや色彩検定、CGクリエイター検定などの関連スキル・資格などを取得しておくと依頼を受けやすくなります。なお、3DCGデザイナーの勤務先はゲーム制作会社または映像制作会社が一般的です。
ただし、実績やスキルを積めば、独立開業してフリーランスとして活躍できるケースもあるでしょう。
まとめ
近年需要が拡大している3DCGデザインですが、専門的な知識やスキルが必要な仕事といえます。3DCGデザイン専門のソフトを使えるスキルやデッサン力、コミュニケーション能力などが欠かせません。
ただ、将来性の高い仕事のため、一定のスキルや能力がれば、ゲーム業界や映像制作会社などで重宝される人材になれるでしょう。また、自分のスキルを磨ける仕事なので、独立開業してフリーランスとして活躍するなどのキャリアパスも目指せます。